2011/05/20

素晴らしきリーダーの言葉~夜間飛行・リヴィエール~

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星の王子さまで有名なフランスの作家サン・テグジュペリは、一方では実際に陸軍飛行連隊や民間航空郵便の飛行士をやっていたそうな。その時の経験は『夜間飛行』『南方郵便機』という小説として描かれています。

薄っぺらい本なんだけども、誠に内容は重厚で、登場人物たちの生き様が、見事に、そしてリアルに描かれてます。その中でも特に夜間航空郵便事業のファウンダーであり、支配人であるリヴィエールはとにかくサイコーで、彼のカッコ良さに、僕は何度かシビれてしまった。

パイロットやその家族、エンジニアたちと常に距離を取り、決して歩み寄ることをせず、冷酷と厳格を貫くその姿勢は、鬼かそれとも機械か、と思えるリヴィエールだけど、実は誰よりも夜間航空郵便事業に情熱を燃やしていたのも、リヴィエールその人なんですよね。

情熱冷徹

この二つはリーダーに必要な根源的な資質と言えるかもしれない。決して小説の中だけの話ではなく、困難な事業の遂行、危機的な状況の中での決断、部下たちの鼓舞、このようなものは現実の世界でもとても大切なものだ。

”規則というのは宗教で言えば儀式のようなもので、馬鹿げたことのようだが人間を鍛えてくれる” P34

シャルトル大聖堂とイノベーション②

520034494_09b26f49cc_zシャルトル大聖堂が焼け落ちたのは1194年。マリア信仰の中心地として栄えたシャルトルの町は、大聖堂と共に、マリアの聖衣が焼け落ちたことで落胆し、未来を見失いかけていた。

観光客はみるみる減り、経済的にも厳しい状況が続いていた。そんな中シャルトル大聖堂のルノー司教は意気消沈する町の人々を勇気づけ、奮い立たせ、もう一度シャルトル大聖堂の建造を行う、と高らかに宣言する。

僕はコッソリこのルノー司教という男をとても尊敬している。燃えてしまった聖衣をしれっと偽物を持ち出して、奇跡によって復活した、と言ってみたり、国王やバチカンからうまいこと金策してみたり、町の人々一人ひとりに声をかけて勇気づけてみたり、本当に優しさと豪胆さを兼ね備えた素晴らしいリーダーだからだ。

それに加えて、ルノー司教は前例や既成概念に囚われない、アイデアマンでもあったというからまったく恐れ入るしかない。